「エル君、これから単独で突破していくけど、僕のチームとして動く場合の行動パターンを君は知らない。外で落ち合う予定だけど、説明する時間はないから、無理をしないで誰かに付いていてもいい。僕としても、出来るだけ君が離れてしまわないよう努力はするし――」
「要らない」

 エルは、スウェンの口に手を当てて、続く彼の言葉を遮った。

「同情なんか要らない。俺は、あなた達の任務には無関係な要素なのだから、責任を感じられる方が、痛いよ」

 そう告げて、エルは下手な愛想笑いを返した。スウェンの目を見つめ返して、小さく頭を振る。

 駄目だよ、スウェン。あなたは俺を、心配してしまっているんだ。他人として引いている距離を、踏み外し掛けてしまっているんだよ。別れる事になった時、辛い思いをさせたくないんだ。

 エルは眼差しで想いを伝え、スウェンの口から、そっと手を離した。

 この想いが、目だけで伝わったのかは定かではないが、賢い彼は、何かしら感じるところがあったようだ。エルは、スウェンが目を見開いて口をつぐむ表情を見据え、コクリと肯いて見せた。