「ざっと二十、だろうか」
「下は、もっと多い可能性があるね」

 スウェンが補足した。彼は鼠男をしばらく見つめた後、顎に手をやり「ふむ」と肯いた。

「なかなか、原始的なエキストラといったところかな。先程の様子を視る限りでは、身体の構造は恐らく普通の人間と変わりないだろうね。化け物退治ほどの難しさはないと思うけど、彼らがどこから湧き出ているのかは、少し興味あるね。扉の向こうに感じていたエキストラの気配が減っている事に関係がありそうだ」

 スウェンは「セキュリティの駒にも、法則性はあるのかな」と、ニヤリとした。

 鍵がかけられていた扉のドアノブが、乱暴に回され始めた。荒々しく叩かれたかと思えば、途端に雄叫びのような複数の声が、扉の隙間から室内に響き出した。

「とにかく、僕らは移動している支柱を見付けないといけない訳だね。僕ら三人は、元々チームとして動いていたから行動パターンは把握しているけれど、……エル君は違うからなぁ」

 スウェンはエルを振り返ると、半ば腰を屈めるようにして、彼女と視線を合わせた。