真っ直ぐ放たれた銃弾が、男の身体の中央を撃ち抜いた。すると、別の方角から続けて銃声が上がり、エルが反射的に身を隠すそばから、テーブルと床に何十発もの銃弾が突き刺さった。

 素早く左右に目を凝らしたが、辺りは破壊しつくされ、近距離に隠れられそうな逃げ場所はなかった。テーブルやシャンデリア、椅子などの残骸が床には散乱している。

 こちらに向けて銃を乱射した者が、ゆっくりと間合いを詰めて近づいてくる足音がした。

 エルは、奥歯を噛みしめた。迷っていたら駄目だ。確実に敵を仕留めなければならない――

 かなり怖いが、やるしかない。

 自分が生き残るためには失敗は許されない。エルは、緊張と恐怖を抑え込むように短く息を浅く吸い込むと、床に片方の膝をつき、近づいてくる敵の足音と気配に集中して、タイミングを待った。

 今だッ

 訓練を思い出して震えを止め、エルはテーブルの影から身体を乗り出すと両手で拳銃を構えた。