慌てて振り返ろうとした時、不意に、耳元で大きな声で名を呼ばれ、暗闇の光景が急速に五感から遠のいた。
もう一度、今度は怒声で名前を呼ばれ、ハイソンは反射的に「はい!」と答えて飛び起きてしまった。
目を見開くと、そこには同僚のクロシマの顔があった。
視界が変だ、と認識したところで、ハイソンは、眼鏡がずれている事に気が付いて掛け直した。同僚であり、後輩で部下でもあるクロシマが、少し安堵したような苦笑を見せた。
「良かった。急に倒れたもんだから、何事かと思っちまいましたよ」
ハイソンは二呼吸の間に、自分が置かれている状況を把握しようと努めた。
自動販売機があり、開けられていないミルクティーの缶が廊下に転がっている。倒れたハイソンの頭を、クロシマが膝に乗せて、こちらの顔を覗きこんでいた。
「……俺、一体どうなったんだ。なんでお前がここにいる?」
「急に倒れたんすよ。すげぇ音がしてましたが、頭は大丈夫っすか?」
ハイソンは、クロシマに助けられながら上体を起こし、後頭部に触れてみた。
指摘された患部に触れてみると、確かに、鈍い痛みが伝わって来るような気がしないでもない。受け身も取れないほど、急に一時ばかり意識を手放してしまったという事だろうか。
もう一度、今度は怒声で名前を呼ばれ、ハイソンは反射的に「はい!」と答えて飛び起きてしまった。
目を見開くと、そこには同僚のクロシマの顔があった。
視界が変だ、と認識したところで、ハイソンは、眼鏡がずれている事に気が付いて掛け直した。同僚であり、後輩で部下でもあるクロシマが、少し安堵したような苦笑を見せた。
「良かった。急に倒れたもんだから、何事かと思っちまいましたよ」
ハイソンは二呼吸の間に、自分が置かれている状況を把握しようと努めた。
自動販売機があり、開けられていないミルクティーの缶が廊下に転がっている。倒れたハイソンの頭を、クロシマが膝に乗せて、こちらの顔を覗きこんでいた。
「……俺、一体どうなったんだ。なんでお前がここにいる?」
「急に倒れたんすよ。すげぇ音がしてましたが、頭は大丈夫っすか?」
ハイソンは、クロシマに助けられながら上体を起こし、後頭部に触れてみた。
指摘された患部に触れてみると、確かに、鈍い痛みが伝わって来るような気がしないでもない。受け身も取れないほど、急に一時ばかり意識を手放してしまったという事だろうか。