四番目のセキュリティー・エリアでの疲労もあったので、スウェンは状況や支柱との距離を確認するなり、セキュリティーに触れてしまう前に、一旦少し休憩を取ろうと一同に告げた。

 スウェンに促され、四人と一匹は、山の中腹にある半円形状の宿泊施設に立ち寄った。

 そこは、一階に開けたカフェテラスを持った、二階から五階まで吹き抜けの宿泊施設となっているリゾート施設だった。島に存在する建物の中で、一番近代的な大きい建造物でもあった。遠くからでも分かるほど磨き上げられた建物のガラス窓が、太陽の光りを反射して輝いていた。

 巨大なリゾート宿泊施設には、カフェテラスの他に、ダイビングショップ、ビーズや天然石を豊富に揃えたアクセサリーショップ、ハワイアンの雰囲気が強い、小ぶりな衣料品店があった。この島では狩猟も行っているのか、奥の建物に、迷彩柄のカーテンに覆われた小さな専門ショップもあった。

 受付を済ませた後、四人は、四階の中腹にある一室の宿泊部屋を案内された。

 リビングが二つ、寝室が一つ、広いキッチンを持ったその部屋は、仕切りがされていないため見渡しが行き届き、風通しが非常に良い造りになっていた。円錐作りのテラスからは、町と広大な海の様子が一望出来る。

「すごく涼しいね」
「にゃー」

 エルは、案内してくれた女性員が出ていってすぐ、クロエをボストンバックから出してやり、一人と一匹で真っ先にテラスへと出てみた。

 手すりに身を乗り出すエルの隣に、クロエが手すりの間から顔を覗かせて、それぞれ目に飛び込んでくる景色を眺めた。白い手すりも丸みがあり西洋っぽいなと、そんな事を考えつつ、エルは遠く向こうまで食い入るように見据えた。