五番目のセキュリティー・エリアは、海に浮かぶ大きな島のようだ。

 高地には低い家々が並び、島の中腹には、大きなリゾートホテルや宿泊施設がいくつか立ち並んでいた。古い石垣の塀や、西洋風の低いコンクリートの家が特徴的で、低地には市場やビーチ、テラスのついたカフェやレストランが目立ち、観光リゾート島のようでもあった。

 島に建つ建物の色は、ほとんどが白で統一されていた。タイル地は見当たらず、地面にはコンクートが敷かれていない。傾斜の大きな場所には、足場用として土の中に木材が打ちつけられていた。

 一部集落に敷き詰められた屋根の低い家々の天井には、着古した洗濯物が干されており、海風と太陽にさらされて気持ちよさそうに揺れていた。簡易な服を身に付けた住民は、小麦色の肌が多く、行き交う観光人のほとんどは西洋人である。

 四人が降り立った場所は、島の中腹辺りだった。

 道は、すべて白い土や岩が押し固められたような自然路だ。どこへ目をやっても人の行き交いが目につき、小麦色の肌をした住民は、頭や腰に布を巻きつけて、それぞれ仕事のために動いている様子だった。

 島には、身綺麗な格好をした観光客が多く行き交っている。彼らは住民とは違い、真新しいスーツやシャツ、ワンピースや皺のないタイトスカートを着用していた。特に観光女性の大半は耳飾りやネックレスといったおしゃれを楽しんでおり、旅行気分を味わってか、麦わら帽子をかぶっている人も目立った。

「ハワイや、地中海のリゾート島のような感じだねぇ」

 スウェンはそう感想を述べた。エルは他の土地を知らなかったので、金髪や浅黒い外国人の行き交う様子や、見慣れないリゾート島の田舎町の様子が目新しく思えた。