思えば、幼い頃はもっと女の子らしかった気がするが……両親との暮らしについては、あまり記憶にないので比べようもなかった。

 すると、ログが、やや拍子抜けした顔をした。

「なんだ。無理してる訳じゃねぇのか」
「無理はしてないよ。こっちが素なんだけど、何か問題でもあるの?」
「――いや、特にねぇな。お前はまだガキだし。多分、問題ねぇんだろうな」

 難しい事は俺も分からねぇ、とログが問題を放り投げるように言って歩き出した。

 スウェンとセイジは、既にバイクを降りて合流地点で二人を待っていた。エルとログが追いつくと、スウェンが不思議そうに「何を話していたの」と訊いた。

 エルは、ここぞとばかりにスウェンに愚痴った。

「こいつ、信じられねぇ。俺に運転手させやがった」
「あはは、疲れていたみたいだからねぇ。そこは少し協力して頂けると助かるかな」
「おい、俺はそんなに疲れてねぇぞ」

 隣からログが張り合った。

「俺だって鬼じゃねぇからな。運転出来ないようなら、乗る時にそう言うだろうと待ってたら、こいつが文句も言わずに運転席についちまったから、そのまま運転させてやったんだよ」
「突っ込みどころを逃したんだよ! お前が、あんまりにも自然にクロエを受け取るから、俺、どうしたらいいか分かんなくなっちゃうでしょう!?」