数十分後、次のエリアへの接合地点へ辿り着いたらしく、スウェンがバイクを減速し始めた。

 エルもバイクを停められるようギアを操り、ゆるやかな減速を始めたのだが、不意にログが「おい」と声を掛けた。

「お前、大丈夫なのか」
「何が」
「うちは男ばっかりだからな。下着の替えとか女の事情だとか、そういう細かい事には力になれねぇぞ」

 途端に、エルは半ば急ブレーキでバイクを停めてしまった。

 サイドカーのログを振り返ったが、彼は反対方向へと首を傾けており、こちらからは後頭部しか見えなかった。

「――びっくりした。お前、いつから気付いてたの」
「始めは薄々だったが、確信を得ちまう事があってな」

 ログは顰め面のまま言い、ボストンバッグを片手に抱えて立ち上がった。ちらりと小声で、普通上に乗っかられたら気付くだろ、と呟いたような気がした。

 エルが「何か言った?」と尋ね返すよりも早く、ログが口を開いた。

「とにかく、普通だったら分かるだろ。身体の線だって、考えてみりゃあ男のものとは全然違う」