スウェンは、ふとホテルマンの荷物に目を止めた。出会った頃よりも、確実に荷物の量が増えていると気付いた。

 エルが、呆れた眼差しを改めてホテルマンに向け、舌打ちした。

 こいつ、金目の物を風呂敷に詰めやがったな。

 先程は心に余裕がなかったので、確認する事をつい忘れてしまっていたが、そういえばその問題があったのだったと、エルは送れて思い起こした。心の中で愚痴りつつ、ホテルマンの脇腹を小突き「ちょっと来て」とその腕を引っ張る。

 エルは、ホテルマンを連れたまま少し歩くと、三人に背を向けた状態で、小声で彼を叱った。

「やっぱり持って来たのか。俺、置いて来いって言ったよね?」
「置いてきましたよ。ええ、私の荷物が少し大きくなったと感じるのは、あなた様の目の錯覚です」
「そう言ってる時点でアウトじゃん。白状しちゃってるようなもんだよ」
「まあまあ、細かい事はお気きになさらず。将来、あの方のようにハゲてしまいますよ」

 ホテルマンはそう告げて、二人の間からログの方を指差した。