到着を待たれていたエル当人は、閑散とした空間内に足を踏み入れたところで立ち止まった。

 エルは、既に事が終わってしまったらしい事について、何も無い空間を見てすぐに理解していた。真っ先にセイジと目が合ったが、彼からは戸惑う様子が見受けられた事を不思議に思った。

 どうしたんだろう、と首を傾げたところで、エルは、姿勢を楽にして座り込むログとスウェンからも視線を向けられ、居心地の悪さを覚えた。

 どうやら、自分達が最後の到着だったようだと思いながら、改めて今の状況について考える。遅れてしまった事については謝ってやってもいいが、待てないほど急いでいるのであれば、先に進んでいてくれても構わなかったのだ。

 エルは、非難でもなく安堵でもない、他に何か言いたい事でもあるような男達の表情を眺め、ますます困惑した。

「――お前ら、揃いも揃ってどうしたの? なんか妙なもんでも食ったのか?」

 本人にはまるで自覚はないが、開口一番、失礼な物言いである。そんなエルの怪訝そうな顔を見て、ログが「俺はパス」とスウェンに振った。

 スウェンがぎこちなく笑みを作り、立ち上がり様に右手を上げてエルに応えた。

「ははは、相変わらずだねぇ、エル君。無事で何よりだよ」