破壊の能力は、この世界では体力ばかりが著しく消耗してしまうようになっている。ログが座って身体を楽にしている間、スウェンは、小型探査機の電源を入れ、電子見取り図を確認した。

 セキュリティーが解除された今、現在のエリアの地形図が表示されていた。一本道がこの工場から伸びており、そのまま次のエリアの接続地点まで続いていた。

 楽に構えるログとは対照的に、セイジは、どこか落ち着かないようだった。自分が歩いてきた方を振り返り、フロア内を右へ左へ歩く。そんなセイジを、ログが二度ほど横目に見やったが、声を掛けようとはしなかった。

「エル君達、遅いな……」

 セイジが小さくこぼした。スウェンとログは少し間を置き、「そうだね」「そうだな」とそれぞれ答えた。

 会話が途切れ、場は再び沈黙した。

 広々とした白い空間には、既に三人の男以外は何も存在しておらず、支柱が消え去った室内の奥に、壁を切り取っただけの簡易な出口が現れていた。出口の向こうは白く光っており、出る先を確認する事は出来ない。