報告を一通り聞いた頃には、真っ白な空間からは全ての機材が消失していた。

 セイジが、敵に遭遇する事もなくゴールへ辿り着いたという事実に関しては、ログが苦々しく「やっぱりな、この強運持ちが」ともらした。

 スウェンは報告を一通り聞いた後、しばらく考えた。

「……妙な話だな。この世界に、僕らの協力者がいるという事かい?」
「私もさっぱりなんだが、……少し違うようにも感じる」
「違う、というと?」
「なんというか、目的は同じなんだが、私達が全く知らないところで、何かを進めようとしている者がいるんじゃないかと、私はそういう気がしているんだ」

 セイジは一生懸命に、自分が感じた印象を言葉にした。スウェンは「なるほどねぇ」と相槌を打った。

「結果は同じでも、僕らとは違う目的で動いている奴らがいる、と――そういう報告は外からは受けてないけれど、まぁ、次のエリアで訊いてみることにしようか」

 仮想空間に入り込んだ人間に関しては、全て数値として出る。今回の任務で、スウェン達の部隊以外の人間を投入しているという話しはなかった。