『そうでしたか。こちらでは大まかな座標特定しか出来ないものですから……あ、そちらから報告頂いていた少年の件ですが、報告された場所の近くで、妙な噂を聞きました』
「妙な噂?」
スウェンとログは、そこで、お互いに目配せした。
「ふうん――一体、どんな?」
『数人の人間が、目の前で子供が消えたと証言しているらしいのですが、どうも、その少年は消える直前に、誰もいない場所に向かって話しかけていたようです』
「どういう事だい?」
『はぁ。その、なんというか、近くの店の主人は、少年が僧侶と話しこんでいる姿を見たというし、数人の目撃者は、少年がたった一人で、まるで誰かがいるように話し掛ける姿があったと。今回の件と関わりがあるのかは不明ですが……』
スウェンは「分からないなぁ」と頭をかきむしった。彼が見る限りでは、エルは精神的な疾患もない健康体そのものだった。
「何か関連性はあると思うかい?」
『あまりないように思われますが、今回の件については謎が多いですから、用心はしています。こちらでは、少年が消えた正確な位置を特定しているので、近くに防犯カメラが設置されていれば、正確な詳細も得られるでしょう』
スウェンは話しを聞きながら、嫌な気持ちを覚えて自己嫌悪した。
通信相手のハイソンとは知った仲でもなく、彼という人間性をそれほど嫌ってもいないはずなのだが、やはり相手が科学者と思うだけで嗤ってしまいたくなるのだ。
これからの支柱が難所でしょう、と心配性なハイソンは続けて説明した。この時点でメンバーが一人でも欠けてしまう事があれば、先が難しくなってくる可能性が高い。
ハイソンはそう説きつつ、セイジの安否も確認したがったが、スウェンは冷たく断っていた。
「妙な噂?」
スウェンとログは、そこで、お互いに目配せした。
「ふうん――一体、どんな?」
『数人の人間が、目の前で子供が消えたと証言しているらしいのですが、どうも、その少年は消える直前に、誰もいない場所に向かって話しかけていたようです』
「どういう事だい?」
『はぁ。その、なんというか、近くの店の主人は、少年が僧侶と話しこんでいる姿を見たというし、数人の目撃者は、少年がたった一人で、まるで誰かがいるように話し掛ける姿があったと。今回の件と関わりがあるのかは不明ですが……』
スウェンは「分からないなぁ」と頭をかきむしった。彼が見る限りでは、エルは精神的な疾患もない健康体そのものだった。
「何か関連性はあると思うかい?」
『あまりないように思われますが、今回の件については謎が多いですから、用心はしています。こちらでは、少年が消えた正確な位置を特定しているので、近くに防犯カメラが設置されていれば、正確な詳細も得られるでしょう』
スウェンは話しを聞きながら、嫌な気持ちを覚えて自己嫌悪した。
通信相手のハイソンとは知った仲でもなく、彼という人間性をそれほど嫌ってもいないはずなのだが、やはり相手が科学者と思うだけで嗤ってしまいたくなるのだ。
これからの支柱が難所でしょう、と心配性なハイソンは続けて説明した。この時点でメンバーが一人でも欠けてしまう事があれば、先が難しくなってくる可能性が高い。
ハイソンはそう説きつつ、セイジの安否も確認したがったが、スウェンは冷たく断っていた。