その光景に、エルは強い衝撃を受けた。一歩踏み入れた足が、引き返そうとする理性に反して動かなくなる。

「……ど、どうしよう。――可愛過ぎるッ」

 心の中で強い葛藤が起こった。もし抱きしめて、もふもふした小兎達に頬ずりし、可愛いと連呼して戯れたりしては、時間の無駄になってしまうだろうか。

 可愛い女子共ではないのだから、むしろ似合わないだろうが、けれど今は誰も見ていない状況ではあるのだし……

 気付くと、理性よりも身体が先に動いていた。エルは小兎たちの中に入ると、そのうちの一匹を抱きしめた。手触りは非常に柔らかくて暖かい。抱きしめて頬をすり寄せると、とても幸せな気持ちになれた。

 エルが続いて、別の白い兎を抱きしめていると、近くにいた他の小兎たちもやって来た。

 まるで、僕も撫でてと言わんばかりに、兎達は小さな頭をエルの裾に押し当てた。エルが絨毯に膝を置くと、腿の辺りに別の二匹が座り、一匹が腕にしがみつき、勝手に肩に登って首の間に居座る小兎まで現われた。