「得意げに言ってるけど、『吊るされた男』とか『借金』とか、本当に合ってるの? ――じゃあ、コレは?」
「『苦悩する男』でしょう、うん、そうですとも」
「変だな、俺には、キリンの絵に見えるんだけど……」
手近にあった扉を二人で試しにいくつか開けてみたが、例えば『王冠』の部屋だと、中には赤い絨毯張りの豪華な部屋が広がって、中央の台座には、宝石がちりばめられた王冠が置かれていた。
つまり扉には、部屋にどんな物が置かれているのか描かれており、回廊にはトラップもなければ敵もおらず、害のない部屋ばかりである事が確かめられた。
他に目立った表記もない事から、扉の装飾がヒントだろう、という事で一旦話しはまとまった。
「私達は、それぞれ隠された物の部屋を探さなければなりません。恐らく、与えられている他のテーマの部屋は全てフェイクでしょう。所詮舞台は工場内なのですから、きちんとした綺麗な部屋ではなく、工場としての本当の室内が出れば『当たり』という事になるのでしょうかねぇ」
ホテルマンは、的を射たといわんばかりにそう説いた。エルが根拠について尋ねると、途端に胡散臭い笑顔を浮かべて「勘ですよ~」と答えた。
「『苦悩する男』でしょう、うん、そうですとも」
「変だな、俺には、キリンの絵に見えるんだけど……」
手近にあった扉を二人で試しにいくつか開けてみたが、例えば『王冠』の部屋だと、中には赤い絨毯張りの豪華な部屋が広がって、中央の台座には、宝石がちりばめられた王冠が置かれていた。
つまり扉には、部屋にどんな物が置かれているのか描かれており、回廊にはトラップもなければ敵もおらず、害のない部屋ばかりである事が確かめられた。
他に目立った表記もない事から、扉の装飾がヒントだろう、という事で一旦話しはまとまった。
「私達は、それぞれ隠された物の部屋を探さなければなりません。恐らく、与えられている他のテーマの部屋は全てフェイクでしょう。所詮舞台は工場内なのですから、きちんとした綺麗な部屋ではなく、工場としての本当の室内が出れば『当たり』という事になるのでしょうかねぇ」
ホテルマンは、的を射たといわんばかりにそう説いた。エルが根拠について尋ねると、途端に胡散臭い笑顔を浮かべて「勘ですよ~」と答えた。