しばらく進んだ先で、セイジは一つの扉を見付けた。それは、小さな正方形の勝手口のようだった。古い木製の引き戸タイプのものだったが、これから家に設置される物が置き忘れられてしまっているように、扉だけがあった。
どこにも繋がっていない小さな正方形の扉を、セイジは、数十秒ほど観察した。
横から眺め、後ろに回って確認し、それから小首を傾げて扉の表側へと戻った。特に考える事もなく、今度は、腹ばいになって正面から見つめてみる。
これぐらいの大きさなら、窮屈ではあるが通り抜けられそうだ。古風な造りは、昔住んでいた家の秘密基地を思い起こさせた。
セイジは、思いつきで扉を開けてみた。向こうの風景がそのまま見えるばかりだと思っていたのだが、何もない暗闇の景色の中に、一人の子供が座っているのが目にとまって、セイジは思わず顔を上げた。
慌てて扉の外枠から同じ方向を確認してみたのだが、そこに何もなかった。
もう一度、扉の枠から、向こうの景色を見据えてみた。すると、暗闇にぽっかりと咲く白いワンピースが目にとまった。
確かに人かいる。幼少の女の子が一人、地べたに腰を降ろして、興味深そうにセイジを見つめていた。
セイジは、女の子と目が合った途端にうろたえ、思わず「こ、こんばんは」と場違いな挨拶をしていた。
「その、私は決して怪しい軍人ではなく……ッ」
この体格のせいか、初対面では女子共に泣かれ、怖がられたりする事も多かった。特にセイジは、女性の弱い一面を見せられる事が苦手だったから、つい言い訳のような言葉が口からついて出た。
でも、この状況なら不審がられても仕方ないのでは……?
小さな扉から顔を覗かせている状況を思い、セイジは、恥ずかしくなって言葉を切った。
どこにも繋がっていない小さな正方形の扉を、セイジは、数十秒ほど観察した。
横から眺め、後ろに回って確認し、それから小首を傾げて扉の表側へと戻った。特に考える事もなく、今度は、腹ばいになって正面から見つめてみる。
これぐらいの大きさなら、窮屈ではあるが通り抜けられそうだ。古風な造りは、昔住んでいた家の秘密基地を思い起こさせた。
セイジは、思いつきで扉を開けてみた。向こうの風景がそのまま見えるばかりだと思っていたのだが、何もない暗闇の景色の中に、一人の子供が座っているのが目にとまって、セイジは思わず顔を上げた。
慌てて扉の外枠から同じ方向を確認してみたのだが、そこに何もなかった。
もう一度、扉の枠から、向こうの景色を見据えてみた。すると、暗闇にぽっかりと咲く白いワンピースが目にとまった。
確かに人かいる。幼少の女の子が一人、地べたに腰を降ろして、興味深そうにセイジを見つめていた。
セイジは、女の子と目が合った途端にうろたえ、思わず「こ、こんばんは」と場違いな挨拶をしていた。
「その、私は決して怪しい軍人ではなく……ッ」
この体格のせいか、初対面では女子共に泣かれ、怖がられたりする事も多かった。特にセイジは、女性の弱い一面を見せられる事が苦手だったから、つい言い訳のような言葉が口からついて出た。
でも、この状況なら不審がられても仕方ないのでは……?
小さな扉から顔を覗かせている状況を思い、セイジは、恥ずかしくなって言葉を切った。