「――おい、あいつらは大丈夫だと思うか?」
「そうだねぇ。エル君は戦えるっぽいけど、このゲームが正当なものであれば、あの胡散臭いエキストラと足して割っても、ここまで難易度はないと、そう期待したいところだね」

 その時、ようやく視界が開けた。

 豚の死体が吊り下げられていない円形状の広い空間に出たところで、二人は足を止めた。ぽっかりと開けた空間は、かなり高さがあり、頭上には薄暗い陰りが濃く続くばかりで天井を確認する事が出来なかった。

 中央には、巨大な銀板が一台置かれていた。強靭な腕が六本ついた巨大な化け物が、こちらに背を向けるように佇んでいた。

 侵入者を待つその化け物は、全身に黒い体毛をはやしており、組んだ足には蹄がついていた。六本の腕には鋭利な刃物が握られ、ダイヤ形の剣やカーブを描く物、幅が太い肉切り包丁や長剣など、多種だった。

「……ラスボスが出やがったか」

 ログが汗を拭い、口許に不敵な笑みを浮かべた。スウェンは苦笑し、諦めたように頭を振った。