「……俺達、どっちへ進めばいいんだろう?」
「ヒントや案内版があるらしいので、探してみましょうか」

 二人で四方をくまなくチェックしてみたが、案内の書かれた看板や張り紙、ヒントとなるような記号や地図らしきものは見当たらなかった。都合のいい案内標識はどこにもないようだ。

「どこかにヒントが隠されているかもしれませんが、そこまで簡単にはいかないという事でしょうかねぇ?」

 ホテルマンが肩を落とした。

 とはいえ、このまま立ち往生している訳にもいかないだろう。エルは、考えていた事を彼に打ち明けてみた。

「じゃあ、俺が右の扉を見てくるから、そっちは左の方を見て来るっていうのはどう?」
「名案とは思えませんねぇ。私達は、せっかく二人一組で参加出来ておりますし、プレイヤーが独立する事は、あまりよろしくと思われます」
「なるほど。……あれ? そういえば俺、貴方の名前とか知らないな。なんて言うの?」
「ふはははははは! 私は世界で一番心優しくて素晴らしい『ホテルマン』ですよ」

 突然、彼は胸を張ってそう宣言した。