彼と同じ席についている大柄な日本人風の男は、迷彩柄の服を上下に着用しており、ポケットの沢山ついたジャケットを、きっちり上まで締めていた。大きな四角い顔が、張り出している頬骨のせいで更にいかつく見える。

 日本人独特の角の上った太い眉毛をしていたが、眼差しには思慮深さや謙虚さが窺えた。同席しているブラウン頭の男が、別客であるエルに睨みをきかせていると気付くと、彼はエルを振り返り、申し訳なさそうに笑いかけた。

 もう一人の金髪碧眼の男も、日本人風の男の様子に気付いてエルの方を向いた。長身の細身で、身体にフィットした袖の短いシャツと、機能性のあるサバイバル・パンツを履いていた。彼は柔和な笑顔を浮かべていて、三人の中で一番若作りとも言えそうだが、何だか隙が見えない男という印象もあった。

 金髪碧眼の男が、ごめんねぇ、と口で形を作って軽く手を振ってきた。白人独特の透明感ある大きく白い掌に、貫かれたような大きな白い傷跡が浮いていた。