スウェンが、チラリと一同に目配せした。ゲームのルールについての理解度を確認していると気付いて、エルは、遠慮がちに手を上げて少年に訊いた。

「あの、ゲームをクリアするまでに、大切な物も探し出さなければいけないって事だけど、この建物全部が会場だとすると、すごく難易度が上がる気がするんだけど……」

 そんなエルの心配とは裏腹に、少年が「ご安心下さい」とニコリと愛想良く微笑んだ。先程の作った大人びた笑顔に比べると、若干人間味の出た自然な表情だった。

「参加者様のレベルに応じて、それぞれ会場を設けさせて頂きますので、広範囲からお探し頂く事はございません。お客様がきちんとクリア出来るよう、ゴールまでは道案内、またはヒントを置かせて頂いておりますし、参加者様のレベルによっては、隠された所持品もお探しできるようヒントもございます。時間制限は、特に設けておりません」

 少年は一度言葉を切ると、一同の視線を確認して、説明を先へと進めた。