「以前に、ホテルの前でお会いしましたね」
「それ以外で、会った事はない?」
エルが続けて尋ねると、ホテルマンは笑顔のまま立ち上がり、
「――いいえ?」
彼は、作り物の愛想笑いでそう答えた。
ホテルマンと分かれて、扉から建物の中に入ったところまでは覚えている。入口の向こうには薄暗い空間が広がっていたはずだったが、足を踏み入れた所で、四人の記憶は途切れた。
しばしの時間経過の後、エルの意識は回復した。
エルは記憶を回想しつつ、ゆっくりと目を開けて、自分の置かれている状況を確認した。
四人は、ぽっかりと空いた室内に並んで立っていた。右からエル、ログ、セイジ、スウェンという配置だった。エルがようやく気が付いた時には、既にそれぞれが途切れた記憶を疑問に思う顔で辺りに目を向けており、ボストンバッグの中のクロエも、鼻先を動かせて様子を窺っていた。
床は滑らかで固く、正方形の白黒が均等に配置されたデザインだった。天井には、ダイヤ形の赤と黄色の模様が続き、壁は全て白い。
正面には一つの大きな扉があり、ハートがモチーフにされた金の装飾が施されていた。
「それ以外で、会った事はない?」
エルが続けて尋ねると、ホテルマンは笑顔のまま立ち上がり、
「――いいえ?」
彼は、作り物の愛想笑いでそう答えた。
ホテルマンと分かれて、扉から建物の中に入ったところまでは覚えている。入口の向こうには薄暗い空間が広がっていたはずだったが、足を踏み入れた所で、四人の記憶は途切れた。
しばしの時間経過の後、エルの意識は回復した。
エルは記憶を回想しつつ、ゆっくりと目を開けて、自分の置かれている状況を確認した。
四人は、ぽっかりと空いた室内に並んで立っていた。右からエル、ログ、セイジ、スウェンという配置だった。エルがようやく気が付いた時には、既にそれぞれが途切れた記憶を疑問に思う顔で辺りに目を向けており、ボストンバッグの中のクロエも、鼻先を動かせて様子を窺っていた。
床は滑らかで固く、正方形の白黒が均等に配置されたデザインだった。天井には、ダイヤ形の赤と黄色の模様が続き、壁は全て白い。
正面には一つの大きな扉があり、ハートがモチーフにされた金の装飾が施されていた。