「行くぞ。時間の無駄だ」
「そうだねぇ。じゃあ、僕らはこのへんで」
ログが不作法に扉を開ける傍から、スウェンがホテルマンに別れを告げた。セイジは戸惑っている様子だったが、スウェンに「問題ないよ」と耳打ちされると、ホテルマンにぎこちなく会釈しつつ歩き出す。
ホテルマンは座り込んだまま、自分を置いて建物に入ってゆく三人の男達を目で追った。
扉の内側に片足を踏み込んだスウェンが、ふと、まだ離れた所で立ち尽くしているエルに気付いて、片手で促した。
「ほら、エル君も。行くよ」
「うん」
そう答えてスウェン達の後に続こうとした時、不意に、ホテルマンがエルの手を掴んだ。
エルは、何だろうか、と座り込んだままのホテルマンを振り返った。彼の手は指が細く、まるで労働などした事がないピアニストのように、日に焼けておらず白く綺麗だった。
セイジとスウェンと、待たされて苛立つログを余所に、ホテルマンが、エルの細い手を掴んだまま、ニコニコと上機嫌な表情を浮かべた。
「そうだねぇ。じゃあ、僕らはこのへんで」
ログが不作法に扉を開ける傍から、スウェンがホテルマンに別れを告げた。セイジは戸惑っている様子だったが、スウェンに「問題ないよ」と耳打ちされると、ホテルマンにぎこちなく会釈しつつ歩き出す。
ホテルマンは座り込んだまま、自分を置いて建物に入ってゆく三人の男達を目で追った。
扉の内側に片足を踏み込んだスウェンが、ふと、まだ離れた所で立ち尽くしているエルに気付いて、片手で促した。
「ほら、エル君も。行くよ」
「うん」
そう答えてスウェン達の後に続こうとした時、不意に、ホテルマンがエルの手を掴んだ。
エルは、何だろうか、と座り込んだままのホテルマンを振り返った。彼の手は指が細く、まるで労働などした事がないピアニストのように、日に焼けておらず白く綺麗だった。
セイジとスウェンと、待たされて苛立つログを余所に、ホテルマンが、エルの細い手を掴んだまま、ニコニコと上機嫌な表情を浮かべた。