「ちょっと、落ち着こうよ」
エルは、少し屈んでホテルマンと顔を合わせた。
「そもそも、どうして『ここ』に来られたの?」
「うん? この『町』までは、就職活動という旅をして来たのですが?」
ホテルマンは、涙ぐみつつも、エルを真っ直ぐ見つめ返してそう答えた。
「時には路上で、バスで、電車で寝る事を強いられながら、かれこれ一ヶ月も放浪の旅なのです。この町ではきっと、と期待していましたが駄目でした……この町には決まりがあり、一日に七時間しか活動してはいけないのだそうです」
語るホテルマンの身体が、ふるふると震え始めた。
「それ以外の時間を自分の部屋にこもって過ごすなど、一日十三時間労働がすっかり馴染んでしまった私には、絶対不可能ですよぉ! 過酷な労働環境に追いこんで、私を縛り上げて顎でコキ使って罵ってくれなきゃ、この身体はもう満足出来ないのです!」
ホテルマンは手で顔を覆うと、声だけで「おうおうおう」と再び咽び泣いた。
ログが腕を組み「危ねぇな」と言う隣で、セイジが「うわぁ……」とぼやいて一歩後退した。
エルは、少し屈んでホテルマンと顔を合わせた。
「そもそも、どうして『ここ』に来られたの?」
「うん? この『町』までは、就職活動という旅をして来たのですが?」
ホテルマンは、涙ぐみつつも、エルを真っ直ぐ見つめ返してそう答えた。
「時には路上で、バスで、電車で寝る事を強いられながら、かれこれ一ヶ月も放浪の旅なのです。この町ではきっと、と期待していましたが駄目でした……この町には決まりがあり、一日に七時間しか活動してはいけないのだそうです」
語るホテルマンの身体が、ふるふると震え始めた。
「それ以外の時間を自分の部屋にこもって過ごすなど、一日十三時間労働がすっかり馴染んでしまった私には、絶対不可能ですよぉ! 過酷な労働環境に追いこんで、私を縛り上げて顎でコキ使って罵ってくれなきゃ、この身体はもう満足出来ないのです!」
ホテルマンは手で顔を覆うと、声だけで「おうおうおう」と再び咽び泣いた。
ログが腕を組み「危ねぇな」と言う隣で、セイジが「うわぁ……」とぼやいて一歩後退した。