「仮想空間では、基本的に睡眠は必要ではないのだけれど、彼の場合は破壊の力を使っちゃうと、どうしても休息が必要になってくるんだよねぇ。僕らも気休めにはなるから、食事の摂取は行っているけれど、――エル君、お腹は空いてる?」
「いや、空いてない。けど、クロエには食事をあげるよ」
「うん、それがいいかもね。猫ちゃん、ボストンバッグの前で正座しているし」
スウェンが指を指す方向を見ると、いつの間にか、ボストンバッグの前に姿勢正しく座っているクロエの姿があった。どうやら彼女は、室内に対して危険は感じていないようだ。
エルがクロエを見て、「気が早いなぁ」とぼやくと、スウェンが可笑しそうに笑った。
エルはとりあえず先に、クロエにはミルクをあげる事にした。スウェンは、ベッドの端に腰かけて探査機のブラウザに見入り、セイジは部屋の隅に腰を降ろして、銃の手入れを始めた。
部屋には冷房の稼働音が低く呻っており、窓がないせいで外の様子も窺えなかった。時刻の経過を計るのは難しいが、エルは、以前セイジが言っていた『スウェンの体内時計』とやらを信用する事にした。
「いや、空いてない。けど、クロエには食事をあげるよ」
「うん、それがいいかもね。猫ちゃん、ボストンバッグの前で正座しているし」
スウェンが指を指す方向を見ると、いつの間にか、ボストンバッグの前に姿勢正しく座っているクロエの姿があった。どうやら彼女は、室内に対して危険は感じていないようだ。
エルがクロエを見て、「気が早いなぁ」とぼやくと、スウェンが可笑しそうに笑った。
エルはとりあえず先に、クロエにはミルクをあげる事にした。スウェンは、ベッドの端に腰かけて探査機のブラウザに見入り、セイジは部屋の隅に腰を降ろして、銃の手入れを始めた。
部屋には冷房の稼働音が低く呻っており、窓がないせいで外の様子も窺えなかった。時刻の経過を計るのは難しいが、エルは、以前セイジが言っていた『スウェンの体内時計』とやらを信用する事にした。