オジサンが親族の墓に入る事が決まった時、――親族の大半は反対していたが、彼の妻が遺言を残してくれていたらしい――エルは、オジサンの横たわる棺の中に、ポタロウ達の位牌も一緒に入れてやった。
縁側にあった大きな桜も、手作りの小さなお墓も、オジサンの妻の遠い親戚たちが全て取り壊してしまったのだ。
「秋、か……寂しい風だね」
「そうか。過ごし易いと思うのだが」
セイジが不思議そうに首を傾げた。エルは、力なく笑って「そうだね」とはぐらかした。
通りをしばらく歩きながら、スウェンが建物の中に入っては、出て来る事を繰り返した。ほとんどの宿泊施設が本日の受付が終了しているか、満室となっていたが、ようやく一同は一つの建物に足を踏み入れた。
それは、両サイドを高層ビルに挟まれた、十二階建ての細長い宿泊施設だった。正面から見る限り、小さな窓が各階に二つずつあるばかりの鉄筋コンクリートの建物だった。
建物の入口を入ってすぐに狭いフロントがあり、受付の女性店員が一人いた。受付の脇には、狭いフロアに押し込められたようにエレベーターが一つある。
四人が受付の前に立った時、スーツ姿の中年男が、ドレス姿の女とエレベーターの中に消えていった。
他になかったのだから仕方がない、とスウェンが吐息混じりに呟き、泊まる手続きを行った。受付で四人分の料金を払う際、女性店員が四人をそれぞれ見て、ちょっと変な顔をした。ちらりとエルを盗み見た彼女の眼差しには、同情も垣間見えた。
エルは違和感を覚えたが、セイジに促されて、小さなエレベーターに四人で詰めて乗り込んだ。
縁側にあった大きな桜も、手作りの小さなお墓も、オジサンの妻の遠い親戚たちが全て取り壊してしまったのだ。
「秋、か……寂しい風だね」
「そうか。過ごし易いと思うのだが」
セイジが不思議そうに首を傾げた。エルは、力なく笑って「そうだね」とはぐらかした。
通りをしばらく歩きながら、スウェンが建物の中に入っては、出て来る事を繰り返した。ほとんどの宿泊施設が本日の受付が終了しているか、満室となっていたが、ようやく一同は一つの建物に足を踏み入れた。
それは、両サイドを高層ビルに挟まれた、十二階建ての細長い宿泊施設だった。正面から見る限り、小さな窓が各階に二つずつあるばかりの鉄筋コンクリートの建物だった。
建物の入口を入ってすぐに狭いフロントがあり、受付の女性店員が一人いた。受付の脇には、狭いフロアに押し込められたようにエレベーターが一つある。
四人が受付の前に立った時、スーツ姿の中年男が、ドレス姿の女とエレベーターの中に消えていった。
他になかったのだから仕方がない、とスウェンが吐息混じりに呟き、泊まる手続きを行った。受付で四人分の料金を払う際、女性店員が四人をそれぞれ見て、ちょっと変な顔をした。ちらりとエルを盗み見た彼女の眼差しには、同情も垣間見えた。
エルは違和感を覚えたが、セイジに促されて、小さなエレベーターに四人で詰めて乗り込んだ。