「空間内は縦の一本道か……狭いようだね」

 スウェンが探査機のブラウザを確認し、感想を述べた。ブラウザには真っ黒な地形が浮かび上がっていたが、それはまるで、地下駐車場を盾に引き伸ばしたかのような、単純な形をしていた。太く伸びた黒が、長く続いている。

 支柱の地点については、まだ探査機に反映していなかった。スウェンは、辺りをしばらく見て一同にこう告げた。

「とりあえず少し休もう。この先に待っている舞台が、僕らに手荒な歓迎をしないという保証は、どこにもないからね」

 スウェンを先頭に、エル達は通行人に邪魔にならない程度に連なり歩いた。いかにも会社帰りといった通行人達は、それぞれ長袖を着用しており、自分の足ばかりに目を落とし黙々と歩いていた。

 クロエがボストンバックから顔を出し、辺りを眺めた。エルは彼女の頭を撫でつつ、気持ちの沈むような夜の街を進んだ。先程の公園の他に、車道には一つの樹木も花壇も見られなかった。