「いえ、いえ、特に他意はありませんので、ご安心下さいませ。ただ、中心街ではペット同伴が難しい場所が多くありますし、困った顔をして、この通りを歩いているお客様を何度かお見かけしているもので」
「俺みたいな一人歩きの若い人間が、ホテルに用があると思ったの?」
「当ホテルでは、お客様第一のサービスを心掛けておりまして、ランチは三時半まで営業しておりますし、ランチを担当するコックの料理も素晴らしいのです。バイキング形式ですし、ペットちゃん様も大歓迎ですし、何と言っても平日はお値段がリーズナブル!」

 男は、意気揚々と自慢するように話し始めた。

「当ホテルでは、過ごし易い環境と、老若男女に人気のメニューを取り整え、一時のくつろぎとして、宿泊客様以外にもご利用頂ける岩盤浴や、マッサージメニューも取り揃えさせて頂いておりますッ。まあ、ぶっちゃけますと、出来るだけ地元の方にご利用頂いて、顧客様になって頂ければ来る回数も一人当たりそこそこ稼げ――」

 そこで、怪しげな男――ホテルマンは、嘘臭い咳を「ゲフンゲフン」とやった。