思い返すと、エルの場合は、成長痛も瞬く間に過ぎてしまっていた。成長の早さは人によってバラつきはあるというが、一昨年と去年と今年で、身長がミリ単位程しか変わっていない事実が恨めしい。

 おかしい。オジサンに協力してもらって、牛乳もしっかり飲んでいたというのに……ッ

「二人とも、一体何をしているんだい?」

 ふと様子を確認するために振り返ったスウェンが、呆れたように半眼になった。
腕を組んでもんもんと考えるエルと、頭を抱えつつ、気のきいた言葉を必死で探すセイジの凸凹コンビが、一体どこでそのような状況になってしまったのか、スウェンとしても判断に迷うところだった。

「君達って、相性が良いのか悪いのか分からない組み合わせだなぁ。次のエリアに入るから、はぐれないようについて来るんだよ」

 エルとセイジは、ほぼ同じタイミングで顔を見合わせた。声を掛けても問題はないということだろうか、とお互い目配せで数秒ほど考え、肯きあってからスウェン達の方へ視線を向けた。


「お話は終わったの」とエルは小首を傾げ、

「もういいのか」とセイジが控えめに尋ねた。


 スウェンは、しばらく二人を見つめた後、エルと同じ方向に首を傾けた。