エルは、いつの間にか隣を歩いているセイジを見上げた。ログと同じぐらい大きな体格をしており、どちらかというとログよりも厚みがある分、迫力もあるのだが、その瞳は子犬のように柔和で心配性の気も見て取れる。

 もっと自信を持てばいいのに。俺だったら、きっと、胸を張って町を闊歩するだろうなぁ。

 セイジぐらい背丈があれば、そこからの眺めはきっと最高に違いない、とエルは想像して羨ましくなった。

「なぁ」

 エルが改めて声を掛けると、セイジがビクリと肩を反応させた。彼は、困ったようにエルへと視線を向けた。

「えっと……何かな?」
「堂々としてればいいのに。それとも俺って、そんなにお荷物?」
「いや、そう言う事ではない」

 セイジは、大きな手と首を左右に振った。

「その、君は民間人だし、身体も小さいから大丈夫かなと、心配になってしまうだけで……」
「だから、俺は平気だってば。幼い頃に護身術は習っていたし、身体も丈夫なんだ。やられっぱなしも性分じゃないから、付き合うついでに悪党をぶっとばしてやるからさ」
「ははは、それは心強いなぁ」

 セイジは、半ば緊張感を解いて笑った。眉尻を下げるような柔和な笑みは控えめで、子どもっぽい印象を受けた。