「僕らがここへ潜入するまでに、三十六名の被害者が確認されていた。そのうち六体の遺体が発見され、二十九人は行方不明のままだ。現在、仮想空間には六つの支柱が存在しており、僕らは、そこに六人の被害者との関連性を結び付けている」
とはいえ、実際に入ってみるまでは一つの可能性でしかなかったけれど、とスウェンは言葉を濁した。
「じゃあ、誰かが見た風景のようだと感じたのも……?」
「ああ、仮想空間は『夢』をモデルに創造されたシミュレーション・システムだ。【仮想空間エリス】は、軍が一から演習場に仮想都市を設計けれど、マルクが急ぎ作ったオリジナルの仮想空間はそうじゃない」
「つまり、世界観について何も『設計』がされていない?」
「そうなるかな。『夢』は記憶や理想や願望、恐怖といった精神面が色濃く反映されるもので、使われたのが人間だと想定すると、例えば二番目の支柱の人は、最近見た映画の設定やシチュエーションの中に黒い服の男たちがいた、とも連想される。――まぁ、これは推測でしかないよ、どうとでも考える事はできるし」
完全なバーチャル世界なのに、同時に『夢』も関わってくるのも妙な話だよ、とスウェンは思案気に宙を見やった。
とはいえ、実際に入ってみるまでは一つの可能性でしかなかったけれど、とスウェンは言葉を濁した。
「じゃあ、誰かが見た風景のようだと感じたのも……?」
「ああ、仮想空間は『夢』をモデルに創造されたシミュレーション・システムだ。【仮想空間エリス】は、軍が一から演習場に仮想都市を設計けれど、マルクが急ぎ作ったオリジナルの仮想空間はそうじゃない」
「つまり、世界観について何も『設計』がされていない?」
「そうなるかな。『夢』は記憶や理想や願望、恐怖といった精神面が色濃く反映されるもので、使われたのが人間だと想定すると、例えば二番目の支柱の人は、最近見た映画の設定やシチュエーションの中に黒い服の男たちがいた、とも連想される。――まぁ、これは推測でしかないよ、どうとでも考える事はできるし」
完全なバーチャル世界なのに、同時に『夢』も関わってくるのも妙な話だよ、とスウェンは思案気に宙を見やった。