「見なくてもいい。私達も動揺してしまって、君の事を、その……少し失念してしまっていたところもあって……すまない」

 言葉選びに苦戦した彼が、最後には酷く申し訳なさそうに謝って来た。

 セイジが悪い訳ではない。エルは、首を左右に振って「俺の方こそ、ごめん」と返した。

「あれには、人間が使われているんだね……?」

 確認するべく訊いた自分が、どんな顔をしているのか分からなかった。表情には出さないよう意識したつもりだったが、セイジが言い辛そうに視線をそらした。
大丈夫、心の動揺に慣れるまでに、あともう少しだけ時間がかかるだけだから。

 先程、ログから、スウェンの憶測について支柱の生成に一人の人間が使われている事は聞いており、現場を見れば答えは明らかだった。何よりセイジ達の反応を見ても、推測が真実であった苦悩が見て取れた。

 ならば、もうこれ以上の回答は必要ないだろう。巻き込まれて、連れられているだけのエルが聞いていい話でもない。