初めに会ったテディ・ベアと、姿形が全く一緒の三体の人形達は、顔や胸から部品を覗かせて地面の上で小さくもがいていた。もう、立ち向かって来られる人形は、一体として残っていなかった。
いつの間にか目の届く先に、煉瓦造りの城が聳え立っていた。まるで監獄のような鉄製の古びた扉が一つ付いていたが、迷路のゴール地点であるとエルは理解した。
ログがエルの手を離し、踵を返した。
「はぐれるなよ、ついて来い」
彼はそう言い、振り返る事なく扉へと向かって歩き出した。
エルは、ログの後に続こうとしたのだが、足の裾を弱々しい力で掴まれてギクリと立ち止まった。地面に転がった黄色のテディ・ベアが、一つだけになってしまった目で、エルを見上げていた。
『ヤメて。あの子は、帰りタクナイノ。連れ出サレタクナイって、思ッテル。ダカラ、オ願い……』
懸命に訴えるテディ・ベアは、既に腕が一本しか残っていなかった。鼻から下は抉れ、耳元には、先のテディ・ベアと同じ商品タグが付いていた。
いつの間にか目の届く先に、煉瓦造りの城が聳え立っていた。まるで監獄のような鉄製の古びた扉が一つ付いていたが、迷路のゴール地点であるとエルは理解した。
ログがエルの手を離し、踵を返した。
「はぐれるなよ、ついて来い」
彼はそう言い、振り返る事なく扉へと向かって歩き出した。
エルは、ログの後に続こうとしたのだが、足の裾を弱々しい力で掴まれてギクリと立ち止まった。地面に転がった黄色のテディ・ベアが、一つだけになってしまった目で、エルを見上げていた。
『ヤメて。あの子は、帰りタクナイノ。連れ出サレタクナイって、思ッテル。ダカラ、オ願い……』
懸命に訴えるテディ・ベアは、既に腕が一本しか残っていなかった。鼻から下は抉れ、耳元には、先のテディ・ベアと同じ商品タグが付いていた。