「おい、その面はなんだ。猫と勝手に意思疎通を図ってんじゃねぇぞ。……あれだ、仮想空間は方位が不安定だからな。俺の感覚が外れる時もある――かもしれねぇ」
庭園の通路を右へと進み出しながら、ログが、ようやく自分の非を少しだけ認めた。
「好奇心が強いのはいいがな、あんまり離れるんじゃねぇぞ、クソガキ。支柱に近いほどセキュリティーは作動する。俺は、お荷物の面倒まで見るつもりはないぜ」
「クロエは賢いし、俺だってお荷物になるつもりはないッ」
エルはログの後ろに続きながら、強く言い返した。
というか、とんだ迷惑な迷子野郎の方が『お荷物』だろうが、チクショー。
庭園の通路を作る植物の塀は、見事なL字の角を作っていくつも続いていた。入り込んでしばらく経ったせいか、方向感覚はすっかり麻痺してしまっていた。背の高いログから見える例の城も、エルには、まるで確認出来ないぐらいに塀は高かった。
迷路というのは、やはりゴールに向かって正解の道ばかり造られてはいない。必ず騙し手が用意されている訳で、二人は四回も行き止まりに突き当たった。
一度引き返し、次の道を数分ぐらい進んだ後、また行き止まりがあり――
「……五回目だ」
繰り返された行き止まりの回数を思い浮かべ、エルは、げんなりと呟いた。
すると、先頭に立っていたログが、唇を尖らせて「うるせぇぞ」と答えた。
庭園の通路を右へと進み出しながら、ログが、ようやく自分の非を少しだけ認めた。
「好奇心が強いのはいいがな、あんまり離れるんじゃねぇぞ、クソガキ。支柱に近いほどセキュリティーは作動する。俺は、お荷物の面倒まで見るつもりはないぜ」
「クロエは賢いし、俺だってお荷物になるつもりはないッ」
エルはログの後ろに続きながら、強く言い返した。
というか、とんだ迷惑な迷子野郎の方が『お荷物』だろうが、チクショー。
庭園の通路を作る植物の塀は、見事なL字の角を作っていくつも続いていた。入り込んでしばらく経ったせいか、方向感覚はすっかり麻痺してしまっていた。背の高いログから見える例の城も、エルには、まるで確認出来ないぐらいに塀は高かった。
迷路というのは、やはりゴールに向かって正解の道ばかり造られてはいない。必ず騙し手が用意されている訳で、二人は四回も行き止まりに突き当たった。
一度引き返し、次の道を数分ぐらい進んだ後、また行き止まりがあり――
「……五回目だ」
繰り返された行き止まりの回数を思い浮かべ、エルは、げんなりと呟いた。
すると、先頭に立っていたログが、唇を尖らせて「うるせぇぞ」と答えた。