ここまで辿り着くまでも大変だったのだ。もう迷路は勘弁して欲しい心境だった。
 
 ここへ来るまでに、何度も迷わされて中間地点まで戻っていた。ログに任せてはいられないと、一度はエルが先頭に立ったものの、途中でログがエルを見失ってしまったようで、お互いが、上の階段と下の階段に立っている状態で遭遇するはめになった。

 あれは確実にログが悪いはずなのに、エルは、勝手にいなくなったお前が悪いと、ログに一方的に怒られたのである。

 今回で判明したのは、どうやらログが、とことん迷路が駄目であるらしい事だ。
スウェンが誘導してくれている時、はどうだか知らないが、ログは指示する人間がいないと、自分勝手にどんどん進んでいってしまうように感じた。かといって、エルが誘導しても、後ろについていたかと思うと、ログはつい別の方向に気を取られて進路を変えてしまう。

 基本的に方向音痴ではないらしいのだが、自分より格下といると、全く相手の事を考えない節があるようだ。

 設実にやめて欲しい。というか、もうこの組み合わせが嫌過ぎる。

 もしかしたら、スウェンはチームの中でも、ちょっとした指令的な立場にいるのかもしれない。ログに迷惑を掛けられていないという事は、ログはスウェンの事だけは格上と認めているのかもしれない。
 
「ちッ、また迷路かよ」

 右か左か、と通路を睨んでログが舌打ちした。