エルは手を伸ばし、写真を受け取った。
写真には、公園のベンチに座る父親らしき若い男と、長い金髪の可愛らしい女の子が写っていた。歳は十一、二歳くらいだろうか。ブルーの大きな瞳は穏やかで、蕾のような唇には愛嬌があった。
つまり、美人で可愛かった。生粋の日本人であるエルからすると、写真の映ったアリスは、幼いとは思えないぐらいの女の子らしさを感じさせる少女だった。
「すごく可愛い子だなぁ。お人形さんみたいだ」
「どうだろうな。そういうのは考えた事がないが、――まだまだちんちくりんのガキだろ、あと十年早ぇよ」
ログが、心底分からないという顔で言い切った。
こいつの周りには美人が多いらしい。金髪美人に夢を見るのは、東洋人ぐらいなのだろうか?
エルが訝しがっていると、どこか思案するように視線をそらしていたログが、暇を潰すようにぽつりぽつりと話し始めた。
「……『可愛い』か……アリスの顔は、確か母親の幼い頃と瓜二つらしいとは聞いた。アリスの方は性格はおっとりしているが、決めた事だけは絶対譲ろうとしないところは、俺が良く知ってる『アリスの親父』にそっくりだろうな。俺が『ブサイクなガキ』だと言うと、自分は美人なんだと平気な面で返すような、根っからのお嬢様さ」
写真には、公園のベンチに座る父親らしき若い男と、長い金髪の可愛らしい女の子が写っていた。歳は十一、二歳くらいだろうか。ブルーの大きな瞳は穏やかで、蕾のような唇には愛嬌があった。
つまり、美人で可愛かった。生粋の日本人であるエルからすると、写真の映ったアリスは、幼いとは思えないぐらいの女の子らしさを感じさせる少女だった。
「すごく可愛い子だなぁ。お人形さんみたいだ」
「どうだろうな。そういうのは考えた事がないが、――まだまだちんちくりんのガキだろ、あと十年早ぇよ」
ログが、心底分からないという顔で言い切った。
こいつの周りには美人が多いらしい。金髪美人に夢を見るのは、東洋人ぐらいなのだろうか?
エルが訝しがっていると、どこか思案するように視線をそらしていたログが、暇を潰すようにぽつりぽつりと話し始めた。
「……『可愛い』か……アリスの顔は、確か母親の幼い頃と瓜二つらしいとは聞いた。アリスの方は性格はおっとりしているが、決めた事だけは絶対譲ろうとしないところは、俺が良く知ってる『アリスの親父』にそっくりだろうな。俺が『ブサイクなガキ』だと言うと、自分は美人なんだと平気な面で返すような、根っからのお嬢様さ」