「俺はガキが苦手なんだ。そこんとこ間違えんな、セイジに説教されちまう」
彼は頭を大雑把にかきつつ、言い訳のように続けた。
「あいつ、子どもが三人いんだよ。アリスに会ったのも、その頃ぐらいだったか――アリスは休憩所で父親の帰りを待つ事があって、暇がありゃあ、いつまでも喋っているようなガキだった。絵本と人形遊びが好きで、ガキの癖に、ここぞとばかりのタイミングで女ぶる、大した子供だぜ。よく絡まる癖に長い髪をふわふわさせて、レースのスカートをいつも履いてた」
「髪は長かったの? フリルのワンピースとかつけて、お姫様みたいな女の子だった?」
「……やけに喰いつくな」
ログが、怪しげなものを見るような目をエルに向けた。
凹凸もないコンクリートに座り込んでいたクロエが、やれやれ、と言うように顔を伏せた。
「だって、これから助け出す子なんだろ? ちょっとでも知りたいって思うのは当然じゃん」
「お前は関係ないだろうが……」
ログは胡散臭そうに言ったが、不貞腐れたように唇を尖らせて「――写真、見るか?」と、どこかまんざらでもなさそうに提案し、後ろポケットから一枚の写真を取り出した。
彼は頭を大雑把にかきつつ、言い訳のように続けた。
「あいつ、子どもが三人いんだよ。アリスに会ったのも、その頃ぐらいだったか――アリスは休憩所で父親の帰りを待つ事があって、暇がありゃあ、いつまでも喋っているようなガキだった。絵本と人形遊びが好きで、ガキの癖に、ここぞとばかりのタイミングで女ぶる、大した子供だぜ。よく絡まる癖に長い髪をふわふわさせて、レースのスカートをいつも履いてた」
「髪は長かったの? フリルのワンピースとかつけて、お姫様みたいな女の子だった?」
「……やけに喰いつくな」
ログが、怪しげなものを見るような目をエルに向けた。
凹凸もないコンクリートに座り込んでいたクロエが、やれやれ、と言うように顔を伏せた。
「だって、これから助け出す子なんだろ? ちょっとでも知りたいって思うのは当然じゃん」
「お前は関係ないだろうが……」
ログは胡散臭そうに言ったが、不貞腐れたように唇を尖らせて「――写真、見るか?」と、どこかまんざらでもなさそうに提案し、後ろポケットから一枚の写真を取り出した。