カラカラに乾いているから、いつも一枚食べ終わるまでじっくり時間がかかってしまう。前歯で噛みちぎり、奥歯で何度も強く噛み、ようやく飲み込める段階でゴクリと喉の奥に押し流すのだ。その大きな塊が、食道をけずりながら落ちていくような感触が、食事をしているのだという満足感を与えてくれた。
窓を見やってみれば、外は相変わらず真っ暗闇だった。必要最低限の時以外、灯りを灯している部屋は少ない。ランプの燃料にしろ、電気にしろ、高価なのに違いはなかった。
けれど夜は不思議なほど、ぼんやりと町の様子を浮かび上がらせるのだ。
闇の広がる頭上には、きらきらと無数の星が輝いている。広大なその光の海に飲み込まれたいと誰もが思い、僕のように飽きもせず夜空を見上げるのはしょっちゅうあって。その光景はとても壮大で、静寂のうちに懐かしい痛みを思い出させるようにして、僕らの胸を締めつけてくるのだ。
今日も僕は、食事を終えるとほとんど夜空を眺めて過ごした。しかし、そうしている間も、普段と違って今更のような胸に響くものは何一つ覚えないでいた。
いつも飽きずに眺めているその光景を見つめながら、僕はこの日、普段とは全く別のことを考えていた。
僕は、自分がすっかり疲れていることを自覚していた。とうに超えた限界の先で、身体は生きながらに死んでいた。ツエマチ君との話の中で、僕はそれに気付いてしまったのだ。僕は目の前に広がる現実に、今にも押し潰されそうだった。
僕はカナミ先輩を想い、そしてツエマチ君のことを思った。窓辺に寄りかかって、窓から吹き込んでくる生温い夜風を受けながら、重くなってゆく瞼を閉じる。
この世界が、嘘か本物かについて、うつらうつらと考える。
窓を見やってみれば、外は相変わらず真っ暗闇だった。必要最低限の時以外、灯りを灯している部屋は少ない。ランプの燃料にしろ、電気にしろ、高価なのに違いはなかった。
けれど夜は不思議なほど、ぼんやりと町の様子を浮かび上がらせるのだ。
闇の広がる頭上には、きらきらと無数の星が輝いている。広大なその光の海に飲み込まれたいと誰もが思い、僕のように飽きもせず夜空を見上げるのはしょっちゅうあって。その光景はとても壮大で、静寂のうちに懐かしい痛みを思い出させるようにして、僕らの胸を締めつけてくるのだ。
今日も僕は、食事を終えるとほとんど夜空を眺めて過ごした。しかし、そうしている間も、普段と違って今更のような胸に響くものは何一つ覚えないでいた。
いつも飽きずに眺めているその光景を見つめながら、僕はこの日、普段とは全く別のことを考えていた。
僕は、自分がすっかり疲れていることを自覚していた。とうに超えた限界の先で、身体は生きながらに死んでいた。ツエマチ君との話の中で、僕はそれに気付いてしまったのだ。僕は目の前に広がる現実に、今にも押し潰されそうだった。
僕はカナミ先輩を想い、そしてツエマチ君のことを思った。窓辺に寄りかかって、窓から吹き込んでくる生温い夜風を受けながら、重くなってゆく瞼を閉じる。
この世界が、嘘か本物かについて、うつらうつらと考える。