西大都市の繁華街の隣に位置する大通りには、新しい市の誕生に合わせて、計画的に建てられた市の建物がいくつも存在している。
全国でも一、二、と云われるほど外観が美しい市役所、四階建ての市立図書館は三階まで全国各地の書籍が集まり、四階はヨーロッパの一流パティシエがオーナーを務めるカフェまで置いてある。
強い存在感をアピールするように濃い灰色で四方を覆われた警察署、四階からガラス張りで隣に分館まで持った電気会社。公園と見間違うほどの広さを持った水道局は緑と水場が目を引き、西洋の美術館をモチーフに作られた国立の分館ビルも目新しい。
国と県が所有する建物は他にも点在しており、「関係者以外立ち入り禁止」の看板を掲げている場所もある。各建物には堅苦しい名前が記載され、身分証や許可証を確認する警備員、建物まで距離がある門と通路がそれぞれ設置されていた。
名を聞いてもぴんと来ない建物も多くあった。大通りから中道に入ると「コンサルタント」や「事務所」とつく小会社があり、社員の出入りしか見られない真新しい建物がいくつも立ち並んでいる。
市役所と水道局をはさんだ通りもそうである。しかし、そんな中、他の建物に比べると、より殺風景とした外観と広大な敷地を持っている建物があった。
太く長い鉄筋の門に、その横に佇む強面の警備員のセットは、この通りではお馴染みの光景だが、敷地内を囲むように建つ高い塀は圧倒的である。二メートルの高さが四方に続き、硬化な分厚い黒鉄が敷地内を守っているようだった。
隣には似たような塀に囲まれた裁判所が場を構えているが、その塀は大理石に似た素材で造られているため品がある。双方の建物に向かい合うのは、堅苦しい雰囲気でそびえたつ議員会館と税理事務所である。目立つ事もなく静まり返っている通りは、車や歩行者もちらほらとしかいない。
高い黒塀に囲まれたその建物は、壁に「国政機関」と記されていた。長い鉄の門からは、だだっ広い駐車場を拝むことが出来る。その駐車場の奥に、ほとんど窓のない黒真珠のような四角い建物がそびえ建っていた。
この通りには限定された者しか入れない建物も多くあるので、将軍のような雰囲気を持った高齢の男や、若くして高級スーツに身を包んだ男たちが乗った外国車が頻繁に出入りする光景も珍しくはない。大通りには注目の若社長が運営する大企業もあったので、話題にすら上がって来ないのだ。
国の高い役職に就いている者たちがその場所を畏怖するほど、そこには多くの国家機密が詰められていた。「関係者以外立ち入り禁止」と書かれた看板の横に立つ警備員が、多くの給料をもらっている優秀な軍人だという事を知っているのは、この建物の本来の存在意味を知っている者たちだけである。
とあるお偉い肩書きを持った男がこの建物を訪問した際、その警備員を見て慌てたように頭を下げた話は、付き人たちの間では有名だった。
国政機関は国立のものであったが、本来の名を「国家特殊機動部隊総本部」といった。各地に秘密裏に分館を持っており、その建物には国で有数の頭脳を集めた「国家特殊機動部隊研究所」や、お面を着用した戸籍すら持たない「国家特殊機動部隊暗殺機構」をはじめとした国一番の人材が集まる総本部である。
全国でも一、二、と云われるほど外観が美しい市役所、四階建ての市立図書館は三階まで全国各地の書籍が集まり、四階はヨーロッパの一流パティシエがオーナーを務めるカフェまで置いてある。
強い存在感をアピールするように濃い灰色で四方を覆われた警察署、四階からガラス張りで隣に分館まで持った電気会社。公園と見間違うほどの広さを持った水道局は緑と水場が目を引き、西洋の美術館をモチーフに作られた国立の分館ビルも目新しい。
国と県が所有する建物は他にも点在しており、「関係者以外立ち入り禁止」の看板を掲げている場所もある。各建物には堅苦しい名前が記載され、身分証や許可証を確認する警備員、建物まで距離がある門と通路がそれぞれ設置されていた。
名を聞いてもぴんと来ない建物も多くあった。大通りから中道に入ると「コンサルタント」や「事務所」とつく小会社があり、社員の出入りしか見られない真新しい建物がいくつも立ち並んでいる。
市役所と水道局をはさんだ通りもそうである。しかし、そんな中、他の建物に比べると、より殺風景とした外観と広大な敷地を持っている建物があった。
太く長い鉄筋の門に、その横に佇む強面の警備員のセットは、この通りではお馴染みの光景だが、敷地内を囲むように建つ高い塀は圧倒的である。二メートルの高さが四方に続き、硬化な分厚い黒鉄が敷地内を守っているようだった。
隣には似たような塀に囲まれた裁判所が場を構えているが、その塀は大理石に似た素材で造られているため品がある。双方の建物に向かい合うのは、堅苦しい雰囲気でそびえたつ議員会館と税理事務所である。目立つ事もなく静まり返っている通りは、車や歩行者もちらほらとしかいない。
高い黒塀に囲まれたその建物は、壁に「国政機関」と記されていた。長い鉄の門からは、だだっ広い駐車場を拝むことが出来る。その駐車場の奥に、ほとんど窓のない黒真珠のような四角い建物がそびえ建っていた。
この通りには限定された者しか入れない建物も多くあるので、将軍のような雰囲気を持った高齢の男や、若くして高級スーツに身を包んだ男たちが乗った外国車が頻繁に出入りする光景も珍しくはない。大通りには注目の若社長が運営する大企業もあったので、話題にすら上がって来ないのだ。
国の高い役職に就いている者たちがその場所を畏怖するほど、そこには多くの国家機密が詰められていた。「関係者以外立ち入り禁止」と書かれた看板の横に立つ警備員が、多くの給料をもらっている優秀な軍人だという事を知っているのは、この建物の本来の存在意味を知っている者たちだけである。
とあるお偉い肩書きを持った男がこの建物を訪問した際、その警備員を見て慌てたように頭を下げた話は、付き人たちの間では有名だった。
国政機関は国立のものであったが、本来の名を「国家特殊機動部隊総本部」といった。各地に秘密裏に分館を持っており、その建物には国で有数の頭脳を集めた「国家特殊機動部隊研究所」や、お面を着用した戸籍すら持たない「国家特殊機動部隊暗殺機構」をはじめとした国一番の人材が集まる総本部である。