ああ、ようやく触れられた。私がそう思って頭をどうにか擦り寄せると、娘のその小さな娘は、くすぐったそうにして笑った。怖がってなどいないのだと分かって、震える手を伸ばしたら、彼女は避けることもなく愛らしいその頬で受け止めてくれた。

 なんて、温かい。私は泣きそうになった。その頬の感触は、まだ出会ったばかりだった中学一年の娘に少し似ていて、にっこりと笑った表情は、写真で見た過去の彼女を彷彿とさせた。

 愛しい、もっと一緒にいられたら良かったのに。


 ごめんね、すまない。

 ああ、私はもう、遠くへと旅立たなければならないのだ。


 もし叶うならば、君のこれからの成長をそばで見届けてあげたかった。でもそれは出来ないことなのだ。もう私は十分に満たされた、最期に一目会えた。それで、十分なのだ。

「くーろ、ばいばい」

 娘の小さな娘が、にこっと笑って目の前で手を振って見せた。またね、と言っているみたいだった。私はそれを見て、潤んだ目でふふっと微笑みかける。

 ありがとう。

 さよなら、どうか元気で。

 そう言葉を掛けたかったのに、もう私の声は震えて出てこなくなっていた。彼らを見るためにわずかに顔を上げていたのだが、それだけでもう首が辛くて震えてしまう。