三年を経た娘は、更に美しくなっていた。

 近くで見たその泣き顔は、幼い日の彼女の面影があった。

 ようやく会えた彼女が愛おしくて、可愛くて仕方がなかった。私は、どうしても愛していることを伝えたくて、近い距離にいる彼女を見つめ返してそっと目を細めた。

「クロ、あなた……」

 満足げな私の顔を見て、娘が泣き顔をくしゃりとした。そばにいた野口が、嗚咽をこぼして言葉にならない様子の彼女を抱き留めて、真っ直ぐに私を見つめてきた。

 野口は、堪えるように唇を引き結んでいた。でも優しい瞳からは、ハラハラと涙がこぼれ続けていて、三年前見た時よりもしっかりとした目元は赤くなってしまっていた。

 娘を頼んだぞ、若造。

 私は、野口に言った。私の言葉は聞こえていないだろうに、野口が「彼女のそばにいる。ずっとだ」と何度も言って大きく頷いてきた。

 ふと、二人の後ろにあるテーブルの上に目が留まった。

 そこには、ここ数年、私が毎日のように眺め続けていた記念写真の収まった写真立てが置かれてあった。まるで私に見えるようにと、そこに置かれているみたいだった。

 私も映っている記念写真が、とても誇らしいと、ずっとそう思っていた。あの高校の卒業式以来、記念日ごとにそうやって、家族としての立派な記念写真を撮っていった。


 嗚呼、――私は、なんて幸せ者なのだろう。


 思わず目を細め、私は過ごした日々を噛み締めながら男を見上げた。十四年分の歳を取った男の目元から、ハラリ、と一粒の涙がこぼれ落ちて、けれど彼はその泣き顔に無理やり笑みを浮かべて私の背を撫でた。

 すると、女が小さな子供の手を取って歩み寄ってきた。男が娘の肩を抱き寄せて左側へと寄り、野口も察したように右側へと身をずらした。