それからというもの、娘はより一層勉強に励んだ。年末には、クラスメイト達と神社に行ってカウントダウンを迎え、新年を祝ってそのまま初詣をして合格祈願をした。

 私は、勉強を続ける娘のそばにあり続けた。

 彼女が家にいる間はずっと、足元にいて見守っていた。

 大事な試験までの日が近くなると、娘の顔にも次第に隠せない緊張が浮かび始めた。私は娘の緊張や不安を解すべく、彼女に寄り添って励まし続けた。男はも気晴らしになるような言葉を掛けたり、女は暖かい食事や飲み物も添えて娘を気遣った。

 それでも、本人にとって希望の大学へ入学出来るかどうかといった大事な節目だ。日が迫るのをカレンダーで確認すると緊張で落ち込み、食べ物が喉を通らなくなることも出始めた。

 そうやって娘の食欲がない時、私は手本を見せるように彼女の前でガツ食いすることまでした。顔中ご飯だらけにした私を見て、娘は笑った。不思議と食欲が湧いたと言う彼女に、私は満足したような顔をしてくっついて甘えたものである。

 とはいえ、本音を言うと、ちょっと過酷な励まし方法だった。

 歳を取った胃には、非常に負担があって私は吐き気をこらえたりした。

             ※※※

 試験の当日、娘は朝から極度に緊張していた。

 家族全員で車に乗り込んで、可愛い娘を試験会場に送り出した。私も連れていってもらえたので、娘が車を降りる直前まで、私は彼女の足の上にいてぴったり寄りそっていた。

 そして、私達は二日間そうやって娘の送迎を行った。