続いて男は、慣れたように服を脱ぎ始めた。それでも尚、逃がさないと言わんばかりに抱えられている私は、ものすごく嫌な予感がした。全ての服を脱ぎ捨てた男が、次の薄い扉を開けた瞬間に私は熱気の元と、ここが一体どんな『部屋』であるのかを悟った。


 そこにあったのは、暖かい湯気が立ち上る浴室だった。そこには、お湯がいっぱい溜められたものもあって――

 それが、私の初めて経験した風呂だった。


 私は、爪を立ててあっちにこっちにと逃げ回り、そのたび男が慌てて捕まえた。泡を洗い流すべく首から下をお湯でさらされた時、浸かった水の感触がゾワッと走り抜けて、私は初めての感覚にピーンっとヒゲを立てて動けなくなってしまった。

 私は以降、とうとうされるがままになった。そして放心状態のまま、浴室の外で待っていた女に受け渡され、今度は水気を拭うためタオル攻めにされたのだった。

 くそっ、なんで私がこんなメに。

 忌々しげに呟いたが、これ以上どんなことが来ようとも平気な気がした。あの風呂以上に恐ろしく気力・体力を使うことなど、その時の私には想像出来なかったからだ。

 だが更にその上をいくことが、私を待っていたのである。

 女はタオルで私を押さえながら、爆音を放つ熱い爆風を私の身体に当て始めたのだ。