どれだけ人に好かれようと努力をしたって、全員に好かれることなんて出来ないらしい。それは本当にその通りだと思う。
 けれど、誰だってそんな悩みを持っていて、誰だって心に傷を抱えて生きている。自分だけなんかじゃない。
 にこにこと笑ってるあの人、怖そうに見えるあの人、怒ってる人、テレビの向こうで輝いてる人、とても嫌いなあの人、
 皆、全員が何かを抱えて生きている。
 闇を抱えて、苦しくなって、心が疲れてしまう時がある。
 追い詰められて人生を捨ててしまいたくなる時だってある。
 でも、そうなったっていい。そうなって、膝を抱えて座り込んで立てなくなってしまっても、また時間が経って頑張れそうになったら立ち上がればいい。
 ……立ち上がれるだろうか。頑張れるだろうか。
 不安はあるけれど、それでも、生きていくしかないなら、前を見ていくしかないのだろう。時には立ち止まって振り返ることも大切で、そんな風に繰り返しながら人は人生を生きていくのかもしれない。
 心が疲れてしまった時、きっとそんな時に「皆そうだから頑張ろう」なんて言われても頑張れやしない。
 そんなことは分かっていて、皆そうなのに頑張れない自分が余計に惨めに思えてくるんだ。なんでこんなに自分は弱いんだろうって思ってしまって、どんどん疲弊していく。
 きっとそんな時、欲しい言葉って励ましでもなんでもなくて、ただ〝辛いね〟って寄り添ってくれる心なんだと思う。
 ただ話を聞いてくれればいい。ただ頷いてくれればいい。
 答えなんていらなくて、自分の気持ちを誰かに聞いてほしくて、受け止めてほしくて。
〝ここまでよく頑張ってきたね〟
〝今、すごく辛いよね〟
 そう言ってもらうだけでいい。
 「そんな人この世界にたくさんいるんだから頑張れよ」なんて、一括りにしないでほしい。ちゃんと、個々で見てほしい。そう思ってる人が、そう声になら叫びで訴えてる人がこの世界には山ほどいるのだろう。
 私は、人の心の痛みに寄り添える人になりたい。
 嘲笑うんじゃなくて、見過ごすんじゃなくて、そっと手を差し伸べられる人でありたい。