「あのさ……あのとき、どう思ってたのかなと」
「あのときって?」
「……中学のときの噂」
聞けなかったことが、時間が経った今、聞けるような気がした。
「あー」
彼は少しばかり考えるような目つきをしては、
「まぁ、話が大袈裟になったなぁと思ってた」
想定外の答えが返ってきたことに驚く。
「大袈裟になった?」
「クラスの女子に告白されて、好きな人いるからって断ったら誰って問い詰められて」
「うん?」
「ぱって目に入った綿世さんの名前出したら、数時間後には付き合ってることにされてた」
あれはびっくりしたと、びっくりしてないような口調で言うものだから開いた口が塞がらなかった。
じゃあ、あれはなんだ。元々は瀬名くんが発端だったと言うわけか。
断る口実に、たまたま目に入った私を口実にしたと言うわけか。
「噂ってやっぱ信用ならないなって思った瞬間だったね」
「いや、それよりも私に謝ったらどうかな」
あのとき、私なんかの名前を挙げなければ、私は中学でハブられることなんてなかった。ふつふつと、彼へと小さな怒りが湧いてくるものの、
「なんで? 綿世さんだから言ったのに」
あっけらかんとした顔で言われるものだからよくわからない感情に丸め込まれた。
私だから私の名前を出した?
これをどう解釈したらいいのだろうか。
「出来ればわかりやすく話してくれると」
「え、スマホでいつも何してるかって話?」
「……ここで、そこに戻すんだね」
どうやら答える気はないらしい。
つくづく彼は他人に思考謎だと思うことが多い。これがミステリアスかと聞かれると違う。いっそくせ者と表現した方が正しいのか。
「まあスマホでは主にエロサイトとか」
「なんで恥ずかしげもなく言えちゃうのかな」
「恥だと思うのは綿世さんがピュアの神だからだろうね」
「ピュアの神って、その方が別の意味で恥ずかしいけど」
上手くはぐらかされたとしかいいようがない。そして私はさらに突っ込むべきだろうけど。なんで話をそらすのと、言うべきか。
──あのネット記事は、なんなのかも、問うべきだろうか。
「あのときって?」
「……中学のときの噂」
聞けなかったことが、時間が経った今、聞けるような気がした。
「あー」
彼は少しばかり考えるような目つきをしては、
「まぁ、話が大袈裟になったなぁと思ってた」
想定外の答えが返ってきたことに驚く。
「大袈裟になった?」
「クラスの女子に告白されて、好きな人いるからって断ったら誰って問い詰められて」
「うん?」
「ぱって目に入った綿世さんの名前出したら、数時間後には付き合ってることにされてた」
あれはびっくりしたと、びっくりしてないような口調で言うものだから開いた口が塞がらなかった。
じゃあ、あれはなんだ。元々は瀬名くんが発端だったと言うわけか。
断る口実に、たまたま目に入った私を口実にしたと言うわけか。
「噂ってやっぱ信用ならないなって思った瞬間だったね」
「いや、それよりも私に謝ったらどうかな」
あのとき、私なんかの名前を挙げなければ、私は中学でハブられることなんてなかった。ふつふつと、彼へと小さな怒りが湧いてくるものの、
「なんで? 綿世さんだから言ったのに」
あっけらかんとした顔で言われるものだからよくわからない感情に丸め込まれた。
私だから私の名前を出した?
これをどう解釈したらいいのだろうか。
「出来ればわかりやすく話してくれると」
「え、スマホでいつも何してるかって話?」
「……ここで、そこに戻すんだね」
どうやら答える気はないらしい。
つくづく彼は他人に思考謎だと思うことが多い。これがミステリアスかと聞かれると違う。いっそくせ者と表現した方が正しいのか。
「まあスマホでは主にエロサイトとか」
「なんで恥ずかしげもなく言えちゃうのかな」
「恥だと思うのは綿世さんがピュアの神だからだろうね」
「ピュアの神って、その方が別の意味で恥ずかしいけど」
上手くはぐらかされたとしかいいようがない。そして私はさらに突っ込むべきだろうけど。なんで話をそらすのと、言うべきか。
──あのネット記事は、なんなのかも、問うべきだろうか。