プラネタリウムの案が学校側の判断の元、正式に許可が下りた。
 これで決まらなかったらと危惧していた気持ちは一気に晴れ、これであの重い話し合いから解放されたのだと思うと一安心していた。
 模擬店決めも無事に終わり、クラスメイトが一致団結しているとはまだ言い難いけれど、それでもそれなりに準備が進んでいった。
「ダンボールはそれぞれ最低でも一枚持ってきてもらえればいいし」
 淡々と準備を進めていく瀬名くんを見つめながら、昨日見た記事を思い出す。
 あれは、ネットに掲載されているようなもので、それをスクショして撮ったのだろう、ということまではわかる。
 問題なのは、なぜその記事に、瀬名くんの死亡が書かれていたのかということだ。
「綿世さん」
「えっ」
「ほら、話聞いてない」
「あ、ごめん……ダンボールだっけ」
「その話は終わった。プロジェクターを借りるって話」
 あの写真がなぜ、私に飛んできたのか。
 瀬名くんが立ち上がったタイミングだから、きっと誤作動で私に飛んできてしまったのかもしれない。
 誤作動。ならば、あの写真もなにかの間違いではないのか。
 だって瀬名くんは現に生きていて、死んでもいない。
 そもそも、二十七日とはいつのことなのだろう。
 教室の後ろにある黒板へと目がいく。
【十月二十七日。文化祭当日】
 もし今月なら、二十七日は文化祭だ。その日に、瀬名くんが死んでしまう?
「とりあえずこれは山内に掛け合ってみるか」
「っ、あ……そうだね。私が聞いてみるよ」
「了解。じゃあ俺は大量のガムテープを確保するとして──」
 なんで、瀬名くんはあんな記事を持っていたのだろう。
 なんで、瀬名くんは死んだことになっていたのだろう。
 ──自殺。
 私じゃない、瀬名くんが、死ぬという未来が待っているというのだろうか。