ちくり、と痛んだ胸に、瀬名くんは重ねるように続ける。
「閉ざして、どんどん人から離れていって、苦しそうにして、本当は綿世さんって周りの事すごい見てんのに、もったいないよ」
「……っ」
「人は案外、怖い奴ばっかじゃない。もっと前に出て、もっといろんな人と接したらいい。多分、綿世さんの事を分かってくれる人の方が多いと思うよ」
 なんで、そんなやさしく語りかけてくれるだろう。
「大丈夫だよ、俺が根拠のない保証をするから」
 瀬名くんが笑うと、心の傷に薬を塗られたみたいな気持ちになる。
 それはきっと塞がることはないけれど、痛みはしばらくないぐらいの効力があって、
「……根拠、ほしかったけど」
「はは、欲張るね」
 前に出ることはやっぱり怖い。明日からいきなりいろんな人と話せるかと言われたらきっと無理だろう。私をわかってくれる人が多いなんて言葉も信じたわけじゃない。それでも、それでも、
「……友達、出来るかな」
 誰かに必要とされる人になりたい。
「どうだろうね」
 なれるだろうか。そんな人に。
「——違うから、大丈夫だよ」
「え?」
「綿世さんなら大丈夫だよ」
 瀬名くんにそう言われたら、不思議と大丈夫な気がするのはなんでだろう。
「そいえば、プラネタリウムの案とかあんの?」
「あーどうかな。これから探そうと思ってるけど」
「じゃあさ──」
 そう言って瀬名くんはスマホを取り出し、画面をスクロールしてる。
「綿世って俺のスマホと同じ機種?」
「あ、うん。そうだと思う」
「じゃあ無線で送るから受信して」
 そう言われ、瀬名くんから飛ばされてきた画像は、どこかの教室に設置された大きな段ボールだった。
「こうやって段ボールを丸くして、その中に入ってもらう、みたいな」
「ああ、これなから限りなく暗くできるね」
「そ。使えるの、もう教室しかないし」
「ほんとだ……教室でできるんだ、こういうの」
「できなきゃ困るって」
 苦笑され、それもそうかと納得する。
「あ、二組。はやく提出してくれ」
 先生に呼ばれ、瀬名くんが「はーい」とプリントを提出しに行ってくれる。瀬名くんが立ち上がったタイミングとともに、また一つ、画像を受信した。
「あれ、また瀬名くん──え」