「意見ある人どーぞ」
瀬名くん筆頭に進められていくが、
「はい! メイドと執事喫茶で!」「お前またそれかよ」「またじゃねーよ!執事も付け加えただろうが。同じじゃねーし!」
男子のおふざけコーナと化したこの時間は、とても有意義な時間を送れているとは到底言い難い。女子は男子のおふざけに便乗するように「執事はイケメンだけで」と笑う。
黒板は相変わらずまっさら。今日ももしかしたら出番はないのかもしれない。そして私も、ここに立ってるだけの価値のない人間。
「お前らなーそろそろ真剣に考えろよー」
山川先生がその空気を緩く一喝すれば「ちぇー」と不服そうな声がちらほらあがってきていた。
模擬店決めがこんなにも苦労するものだとは思わなかった。去年何気なく見ていた出し物も、本当はきっとあれこれ考えられたものだったんだろうなと感心する。
このままだと出し物が決まらないかもしれない。決まる気配がない。各々の顔がまるで他人事のように浮いているから。真剣に取り組んでいるような顔つきじゃない。
こんなので成長がどうとか、言えるんだろうか。
これをするから成長出来ます、なんて説明出来るものが作れるんだろうか。
「もうさ、委員の二人が適当に決めちゃってよ」
だるそうな声をあげたのは、よく香川さんと一緒にいるグループの一人、渡辺さんだった。グループの中でも比較的目立つような存在。あごのラインで切られた髪は軽く内側に巻かれ、薄っすらとメイクが施されている。校則なんてくそくらえと思っているようなタイプ。
莉子に似ているみたいで、苦手。そんな彼女が言うのだ。委員で決めろと。
「どうせ私たちじゃ決められないし。二人でさくっと決めた方が早くね?」
渡辺さんの言葉にクラスメイト達は同意を見せる。
「確かにね」「このまま話し合ってても」「決める権利あんの委員だし」
ある意味、一丸になっているのかもしれない。周りに同調するように、投げやりになって、楽な方をとる。
私もきっと、同じ立場なら今頃首を縦に振っていたんだと思う。
ちらりと入った瀬名くんの顔色は、いつも変わらないものだった。何を考えているのか読めない表情。ただ、今回は何も言わなかった。委員である私たちに責任を押し付けられても、瀬名くんは何も言わず、ただ黙っていた。
話し合いは、結局何も進まなかった。
瀬名くん筆頭に進められていくが、
「はい! メイドと執事喫茶で!」「お前またそれかよ」「またじゃねーよ!執事も付け加えただろうが。同じじゃねーし!」
男子のおふざけコーナと化したこの時間は、とても有意義な時間を送れているとは到底言い難い。女子は男子のおふざけに便乗するように「執事はイケメンだけで」と笑う。
黒板は相変わらずまっさら。今日ももしかしたら出番はないのかもしれない。そして私も、ここに立ってるだけの価値のない人間。
「お前らなーそろそろ真剣に考えろよー」
山川先生がその空気を緩く一喝すれば「ちぇー」と不服そうな声がちらほらあがってきていた。
模擬店決めがこんなにも苦労するものだとは思わなかった。去年何気なく見ていた出し物も、本当はきっとあれこれ考えられたものだったんだろうなと感心する。
このままだと出し物が決まらないかもしれない。決まる気配がない。各々の顔がまるで他人事のように浮いているから。真剣に取り組んでいるような顔つきじゃない。
こんなので成長がどうとか、言えるんだろうか。
これをするから成長出来ます、なんて説明出来るものが作れるんだろうか。
「もうさ、委員の二人が適当に決めちゃってよ」
だるそうな声をあげたのは、よく香川さんと一緒にいるグループの一人、渡辺さんだった。グループの中でも比較的目立つような存在。あごのラインで切られた髪は軽く内側に巻かれ、薄っすらとメイクが施されている。校則なんてくそくらえと思っているようなタイプ。
莉子に似ているみたいで、苦手。そんな彼女が言うのだ。委員で決めろと。
「どうせ私たちじゃ決められないし。二人でさくっと決めた方が早くね?」
渡辺さんの言葉にクラスメイト達は同意を見せる。
「確かにね」「このまま話し合ってても」「決める権利あんの委員だし」
ある意味、一丸になっているのかもしれない。周りに同調するように、投げやりになって、楽な方をとる。
私もきっと、同じ立場なら今頃首を縦に振っていたんだと思う。
ちらりと入った瀬名くんの顔色は、いつも変わらないものだった。何を考えているのか読めない表情。ただ、今回は何も言わなかった。委員である私たちに責任を押し付けられても、瀬名くんは何も言わず、ただ黙っていた。
話し合いは、結局何も進まなかった。