「ごめん、謝るから。公園に来なくなっちゃったこと。バニラの話、全然聞いてあげられなかったことも。……だから、ふっ、だから独りにしないで……」


結局、そうなんだ。


バニラを助けたいとかそんな純粋な気持ちじゃなくて、ただ私がバニラにいてほしいだけだ。

独りが怖いだけだ。


――だけどそれは、バニラじゃなきゃ嫌だ。


私はそう言って、その場にしゃがみ込んだ。


ぼろぼろと泣いていた。


泣き止んだ頃に顔を上げると、そこにはバニラが座っていた。

「……ごめん。イチゴがそう言ってくれるの、本当はすげぇ嬉しい。だけど俺、イチゴにそばにいてほしいと思ってもらえるような奴じゃない。」

バニラの右頬には、一筋の涙が流れていた。

彼は綺麗な顔を苦しげに歪ませて、絞り出すような声で言った。


「……俺、学校で(いじ)められてるんだ。」


い じ め ら れ て る 。


その言葉に、どくっと胸が波打つ。