「なんで?……じゃあなんで、ここに来たの?ここにくれば会えるかもって、一ミリくらい……思ってくれたんじゃないの?」


必死で届けようとする私の声が、夜明け前の公園に響く。

夜の闇が少しずつ息を潜めて、藍とも薄紫とも言えない空が広がり始めていた。


「バニラは、なんで私に何も言ってくれなかったの?私は、私だけ大丈夫になったって全然嬉しくないよ。これからは一人じゃないって、言ってくれたのはバニラじゃん?なのにどうして……どうして、独りにするの?どうして、独りになろうとするの?」


バニラは止まらない。


振り返ってこっちを見てはくれない。


嫌だ、嫌だ、嫌だ。行かないで。