頬の傷にそっと触れて、尋ねる。


「……どう……したの?」


バニラは、それには答えずに言った。


「……なんでいるんだよ。もう、大丈夫だろ……。」


「バカ!……大丈夫なわけない。バニラがこんなになってるのに、私だけ大丈夫なわけないじゃない。」


「ねぇ、何があったの。こんな……」


「……何もない。帰る。」

そう言って、バニラは私の手を振りほどいた。

おぼつかない足取りで公園を出ようとする。その後ろ姿を見送ってしまったら、もうバニラには二度と会えないような気がした。